Grave

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こんにちは。ゴーストです。今日は僕の一族のお墓について書きたいと思います。

古今東西、お墓のスタイル

お墓といえば、想像するのはどんなものでしょうか?石の墓標でしょうか?木の墓標でしょうか?それとも棺や壺でしょうか?最近はビルの中にあったりもしますよね。小さな個人のお墓でしょうか?遠い昔の王様の、大きくて立派な建造物でしょうか?

世界は広いですから、色んなお墓のスタイルがあります。今日はそのスタイルの中に、僕達のお墓を足してください。僕達は、石や木の墓標の代わりに指輪を作ります。

指輪のお墓

このような感じです。僕のおじいさんの指輪、おじいさんのおばあさんの指輪、おばあさんのお兄さんのお子さんの指輪、お子さんの飼っていた蛇の指輪……。各々が生前に好きなデザインで作ります。蛇に関しては、多分飼い主がデザインをしたんでしょう。

ちなみにここに写っている人は僕ではありません。今もどこかで生きている、僕達の一族のお一人です。写真は人間界にいる方に撮ってきてもらうよう(ローソクさんが)お願いしました。

私たちのお墓事情

指輪たちは大事にされているけれど、秘宝のように隠されているわけではありません。指輪の家というものがあって、一族の者であれば自由に出入りすることが出来ます。僕たちは子供の頃から一族の指輪に触れて育ちます。その場で身につけることは勿論、気に入ったものを持ち出して、装いの一つに加えることもできます。ただし、返すのを忘れたり失くしたりすると呪われます。怖いですね。

子供の頃は大抵、親も一緒に指輪の家に行きます。これは誤飲や紛失などを防ぐ目的も勿論ありますが、子供が興味を示す指輪を親がこまめに書き留めておくという目的もあります。これはとても大事なことなのです。

本来は、大人になったら自分でデザインをし、職人に発注します(専属の方がいらっしゃいます)。しかし生き物である以上、いつ何時命を落とすかわかりません。デザインをする前に本人が亡くなってしまった場合、近親者が代わりにデザインをすることになります。もしもの時のために本人の好みを(完璧にとはいえないけれども)把握しておくんですね。

私たちのお墓の始まり

ところで、こんなことを誰が始めたのかというと、僕達の遠いご先祖様です。当然ですが。今日はそのご先祖様の手記を公開したいと思います。

 私は墓というものに全く魅力を感じられない。石の塊を残して何になるというのか?墓地は魅力的だが、墓そのものはどうにも好かない。どうせ石で作るのならば、宝石で、身につけることができて、自由なデザインで、子孫たちも喜ぶものが良い!私は早速、墓の職人の元へ行き、話をした。しかし結果は散々であった……。どこへ行っても首を傾げられるか追い出されるかだった。宙を舞う枯れ葉が私の心をより一層寂しくさせる。冷たい風が、墓職人たちの言葉のように私の肌を切り付ける。自宅のドアを開けると、妻が駆け寄ってきて、私の冷え切った手をそっと握った。その手にちらちらと瞬く輝き。なんて綺麗なんだろう。宝石で、身につけることができて、自由なデザインで、後世に残せば子孫たちも喜んでくれそうな……指輪だ!